HCD-Netサロン
夕方からHCD-Netサロンに参加してきました。
このイベントは人間中心設計推進機構(Human Centered Design Organization)の主催で行われるもので、今回が25回目。京都工芸繊維大学を会場に開催される時にはできるだけ参加しています。
今年のテーマは「インタラクションとユーザーエクスペリエンス」。
まずは4氏によるテーマに沿った話題提供から。
- 「インタラクションとUX」山崎和彦氏(千葉工大)
- 時間軸・環境軸・感覚軸の上で展開される無数のインタラクションが人間の体験を構成していく。
- エドワード・タフテの「虫の一生」、「Napoleon’s March to Moscow」
- 「コンセントにおけるUXの事例」長谷川敦士氏(コンセント)
- UXプロジェクトを「サービス・デザイン」「アクティビティ・デザイン」「インタラクション・デザイン」の3段階のレイヤーに分けて考えている
- 「サービス・デザイン」のプロジェクト・パターンとしては「エスノグラフィ調査」「分析・価値抽出」「サービス・プランニング」の3ステップを意識しているが、プロジェクト毎にそれぞれ最もふさわしい手法を選んで対応している。ex.)分析・価値抽出:ワークショップによる価値抽出・価値マップ・ジャーニーマップ…
- 「NECにおけるUCDとUXの事例」河野泉氏(NEC)
- ペルソナ作り込みとニーズ分析を徹底的に活用したプロジェクター開発の事例
レンズキャップ→レンズシャッターへ - 「インタラクションとUX」八田晃氏(ソフトデバイス)
- 情報構造の構築が大切だった時代 ≫ 機能・構造 ≫ 頭で理解する
↓ クラウド環境が進み、アプリが小さくなり、受け取り口がスマートになった
大きく手続きして小さく受け取る時代 ≫ 存在・アンビエンス ≫ 腹落ちする - プロセスをできるだけ軽くして、デザイナー自身が体験・観察しながら発見を組み込んでモデリングできるようにLABを作った。(自由度の高いプロジェクション設備によって、観察しながらラフに素早くモデリングする)
- インタラクションデザインには、ディテールよりもメッセージングが大切
今回最も気になったのは、八田氏の「小さく受け取る時代」という言葉。すごく言えてる。。。検索ワードを打ち込めば、違いが判別できる程度のコンパクトなサイズにまとめられたリストが表示される。ソーシャルメディアのタイムラインには、大きな文脈から小さく切り取られ・引用されたテキストや画像や動画がサラサラと流れていく。それらの小さな切片に反応してリンクを辿ったり、流れゆく同質の切片量が急に増えたことに驚いて注目記事を知る。(流行とはよく言ったものです。。。)
情報は、対象ではなくて環境になっているのだ。だから、受信装置としては、理解するよりずっと前に、雰囲気を感じとることのできるインタフェースの手法が求められている。そして、操作装置としては、常に同じ形のどっしりと安定した大きな操作卓ではなく、小さな切片にふさわしく、切片への反応に最も適したコンパクトで透明なできるだけ近くに置くことのできる小さなモジュールが求められている。・・のだ、多分。
八田氏の話題は毎年とても含蓄が深くて、理解するのに時間がかかる言葉が多い。「ディテールよりもメッセージングが大切」という言葉の意味、何となく想像はできるのだけれど、まだ自分の言葉に上手く落とせないので、今度お会いしたときに質問してみようと思っています。
その後、パネル発表とディスカッション。
いつもなら発表を見ながら発表者の方々とお話しするのが楽しみな時間なのですが、今回は、年明けのブログにも書いたように「アウトプットする年」にしたいと考えていたので、ちょっと勇気を出して「ヒューマンインタフェース授業事例報告」をパネル発表してきました。
内容は昨年の紀要に掲載したものとほぼ同じですが、進級展の時のデモも持って行って紹介。他大学で情報デザインを教えていらっしゃる先生方や学生さんに興味を持っていただけたようで、いろいろお話できました。
私のパネルはこんな感じ▼
会場は、左右と後ろの壁面を使ってパネル展示。展示内容を一通り自己紹介した後で、興味のあるパネルを見ながらパネリストとディスカッションしていく形です。
正面には飲み物や軽食がビュッフェスタイルで用意されています。様々な企業や大学のデザイナーと気さくに会話できるこの雰囲気がとても好きです。今年はパネリストだったので他の展示がほとんど見れなかったのが残念でした。
2012.01.20[金]11:50 PM | UI Design